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債権回収

債権回収は,実は私たちにとって最も困難な仕事のひとつです。裁判で徹底的に争っていても,負けてしまえば多くの場合,判決に従って支払いをしてくれるのが普通です。ところが,通常,債権回収という場合,相手方に支払ってもらうことも,その金額もお互いにはっきり認め合っているにもかかわらず,お金がない,等の理由で払われないことが多く,いってみれば,ない袖は振れないと言っている方たちからの回収ということになるのですから,これが難しくないわけがないのです。

 抵当権のような不動産担保でもついていれば,それを実行することによって回収が可能でしょうが,よほどの場合でないと不動産担保がついているということはないのではないかと思います。金額がさほどの高額でなければなおさらでしょう。通常の場合,保証人はついているかもしれないので,保証人から回収することを考えますが,保証人も支払ってくれない場合にはどうしたらよいのでしょうか。

 内容証明郵便で督促したり,意図的に財産を隠しているような状況があればその経緯を調査して財産を取り戻す手続きをとったり,強制執行をせざるを得ないような場合には仮差押えのような保全措置をあらかじめ講じたりと,事案ごとにそれぞれ適切な方法を考えなければなりません。

 債権を回収するというのは一見単純そうなことですが,実は最も専門性に富んだ問題であるともいえるのです。

債権回収の手段

内容証明郵便

 内容証明郵便とは,その名のとおり,郵便物の内容を郵便局が証明してくれる郵便物です。

 送った文書の内容と相手方の受領がはっきりするので,大事な通知(契約の解除や時効が迫っているときなど)をする際や,訴訟前の最後通告などに使われます。

 弁護士から,内容証明郵便で支払いの督促を行うことで,相手方から任意の支払いを受けたり,示談の話をもちかけてきたりすることが期待できます

支払督促

 お金の支払いに限定されますが,裁判所から支払を求める督促状を送り,督促に対して相手方が何も回答しないと,そのまま判決と同じ効果を得ることが出来るという制度です。オンラインでの申立ても可能です。

 争いになる可能性が低く,少額の請求をするのに適した手続きですが,督促の相手方が異議を述べると,相手方の住所地の裁判所で裁判をしなければならないというデメリットがあります。

少額訴訟

請求額60万円以下のお金の請求を求める裁判で使用できる手続きです。

 通常の訴訟では,何度も主張を繰返し,証人尋問を行い,判決に至るという流れが一般的ですが,少額訴訟では,原則として1回で期日が終了します

 支払督促と同様に被告が申立をすることで通常訴訟に移行しますが,管轄裁判所が広く,自分や代理人から近い裁判所での審理が期待できる点でメリットがあります。

公正証書

 公証人という公務員に,金銭の支払などについて,支払いの約束などを盛り込んだ文書を作成するものです。

 公正証書には,強制執行受諾文言(約束を守らなければ強制執行を受けても文句を言いません。という文言。)を入れることで,裁判をやらないでも強制執行をすることが出来ます。

 裁判所を介さない点で,スムーズにいけば早い反面,相手方との合意が出来ていないと使用できません。

即決和解

 予め合意した内容を裁判所において文書にする手続きです。

 公正証書は金銭の支払等に利用目的が限定されますが,即決和解では,建物や土地の明渡など幅広い事件で利用できる点で利点があります。

財産の保全・確保

仮差押え

 仮差押えは,お金の請求に際して,訴訟などの結論が出るまでの間に,財産が第三者に売却などすることによって追及から逃れることに対抗する手続きです。

 仮差押えを受けた財産を売却しても,後々,正式に差押えを行った場合(本差押)には,差押をした人(差押債権者)が優先するという効果があります。

 将来,本当に差押えする可能性があるので,『予約』しておくというイメージが分かり易いのではないでしょうか。

処分禁止の仮処分

 不動産の所有権を確認したり,登記名義の移転(変更)を求める事件で,訴訟などの結論が出るまでの間に,名義を変更されてしまうことを防ぐ手続きです。

 処分禁止の仮処分の名前のとおり,この仮処分命令を裁判所から受けると,相手方は,名義の変更などの行為が禁止されます。

占有移転禁止の仮処分

 土地や建物の明渡しを求める事件で,訴訟などの結論が出るまでの間に,占有者(その土地や建物に実際に住んだりしている人)を変更されてしまうことを防ぐ手続きです。

 この仮処分命令を裁判所から受けると,相手方が占有者を変更しても,強制執行の際に無視することが出来ます。

強制執行

強制競売/担保権実行としての競売

 裁判所を通じて,購入希望者の公募をかけて入札を行い,最も高額で応札した人に売却する手続きです。

 不動産の強制執行で主に利用され,予納金が高額で,時間がかかるというデメリットはありますが,他人の土地建物を一方的に売却するという非常に強力な強制執行手続です。

 土地や建物は,職務上請求という弁護士に認められた権限で調査することが出来る場合もあります。

預金差押,給与差押,売掛金差押,賃料差押など

 相手方が更に第三者に対してお金などを請求する権利(債権)を持っている場合に,その権利自体を差押えて,自分に支払うよう裁判所が命令を出す手続です。

 預金,生命保険金,上場株式,投資信託などについては,相続事件などでは裁判前でも調査出来る場合もあります。また,判決をもらえば弁護士会を通じて調査することが可能です(23条照会/弁護士会照会などと言われます。)。

 給与や売掛金は,関係者から話を聞いたり,探偵などを使って自分たちで調査しなければなりませんが,成功すれば相手方へ与えるプレッシャーはかなり強く,給与などの差押えをした結果,全額の支払いを申し出てくるケースもあります。

強制管理/不動産担保収益執行

 賃貸アパートなど,収益物件について,その物件が生む収益を取得する手続きです。

 余り件数は多くありませんが,相手方が収益物件を持っている場合には有効な債権回収手段になります。

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