遺産分割協議の必要性と弁護士会照会

法律コラム
遺産分割協議の必要性と弁護士会照会

2023年6月19日

弁護士 御厨 佳帆

 

 兄弟と遺産分割の話し合いをしたいのですが、兄弟と長年音信不通であり、住所や連絡先がわかりません。どうしたらいいですか?

 

 弊所では累積600件もの相続に関する相談をいただいていますが、上記質問は、相続に関する相談者の方からしばしばご相談されることです。

 相続が発生し、どのように財産を分けるか話し合いをしたくとも、連絡先や住所がわからなければ身動きが取れなくなってしまいます。

 住所を知るための方法として、戸籍の附票を取得する方法があります。戸籍の附票というのは、その戸籍が作られてから(またはその戸籍に入籍してから)現在に至るまでの住所が記録されています。ただし、その戸籍からご結婚などを理由に除籍されている場合には除籍するまでの住所しかわかりませんから、その際には転籍した先の戸籍の附票を取得する必要があります。ご兄弟であれば、兄弟関係にあることがわかる戸籍等を提出すれば戸籍の附票の写しを取得することができます。ただ、戸籍の附票だけでは現在の住所までたどり着くことができない場合があります!!それは、住民票を移動していない場合です。ただ、住民票を移動していな人でも引っ越しの際に必ずといっていいほど行っている手続きがあります。それは、郵便局に対する転居届の提出です。これを見ることができる方法があればいいのですが、個人情報そのものでありなかなか見ることができませんでした。しかし、令和5年5月31日より、弁護士からの請求(弁護士会照会といいます)であればこの転居届を見られる可能性があることが日本郵便より発表されました(https://www.post.japanpost.jp/notification/productinformation/2023/0531_02.html)。これにより、住民票を移転していない相続人であっても住所を調べられる手段ができました!!

 長年音信不通であっても、遺産分割協議はしなければなりません。特に、不動産がある場合には、令和6年4月より相続登記が義務化されることに伴い、遺産分割協議をする必要性が高まりましたので、上記のようなお悩みをお持ちの場合は、ぜひ弊所にご相談ください。