【海外居住者との遺産分割に関する注意】

法律コラム

【海外居住者との遺産分割に関する注意】

2022719

弁護士法人琉球法律事務所

弁護士 絹川恭久

 

 ご家族が日本に不動産や銀行預金などの財産(遺産)を残して亡くなった場合、遺族(相続人)が遺産を受け継ぐには相続手続きをしなければなりません。具体的には、故人の全ての遺産について、相続人全員で遺産分割協議書を作成しなければなりません。

近年、国際結婚や海外留学、海外赴任などの理由で、ご遺族(相続人)の一部が海外に居住している場合をよく見かけます。相続人の一部が海外に居住している場合の遺産分割協議書の作成にはいくつかの注意を要します。

まず、海外に居住する相続人が外国籍を取得している場合、戸籍だけでは家族関係を証明できない場合があります。この場合、出生証明書や婚姻証明書、公証人による宣誓供述書などを用いて故人と相続人の家族関係を証明しなければなりません。

また、相続人が海外に居住する場合、たとえ日本国籍を持っていても住民票や印鑑証明書を取得できないことがあります。この場合、遺産分割協議書を締結するため、海外居住の相続人には居住地の近くの領事館に行き署名証明を取得しなければなりません。

更に、仮に海外居住の相続人が日本国内の遺産を相続すると、不動産名義移転、各種税の申告、預金の払戻や海外向け送金等の問題で、日本に居住する相続人よりも手間が多くかかってしまうこともあります。

 私たち琉球法律事務所は相続案件を得意としておりますが、相続人に海外居住の方が含まれる相続事案も多数扱っております。上記のように海外が絡んで複雑な事案がありましたら、お気軽にお問い合わせいただければと思います。

 以 上