法律コラム
2020年7月8日(水)
リーガルチェックの際の外部専門家の活用法について
弁護士法人琉球法律事務所
弁護士 山下 剛
皆様の会社では、法務部などの法務担当部門を社内に設置されているでしょうか。
大企業のなかには、数十名の人員を要する法務部が存在することもありますし、企業内弁護士を擁する会社も昨今増加傾向にあるように思います。
しかし、中小企業ではなかなかそうはいきません。一般的には、法務に従業員を専従させることはなく、1人の従業員が営業から事務作業まで様々な業務に総合的に関与することも少なくありません。ましてや企業内弁護士を雇用することなど費用的にみても難しい側面があります。
日々の取引に関する契約書の作成も、これまで使ってきた契約書のひな型を使いまわしたり、契約書作成の業務の担当者が、取引ごとに契約書の修正や追加などをして、何とかやりくりしているというのが実情ではないでしょうか。
そのひな型もインターネットで探してきた契約書で、現実に会社が行っている取引に合致しているか否かの検証がなされていない場合も多いように思います。2020年4月1日からは改正民法が施行されていますが、契約書のひな型の改訂はお済みでしょうか。
契約書のリーガルチェック自体は、直接会社の売り上げにつながる訳ではありませんが、定期的に改訂を行い、適切な条項を選択することで些細なトラブルが回避され、万一トラブルが発生してしまった場合でも、トラブル対応に要する人員や時間の削減やトラブルによる損害が軽減される等、様々な効果が期待できます。これが会社の利益を守ることにつながるのです。
そこで考えるべきは外部専門家の活用です。
社内で法律に精通する職員を育てることも重要ですが、時間と経験の積み重ねが必要です。そこで思い切って外部専門家を活用して、法務をアウトソーシングすることで、短期に効率よく社内に法務のノウハウを蓄積することができます。
会社で使っている契約書のひな型のリーガルチェックを、弁護士などの外部専門家に依頼すれば、最新の法令や裁判例などを踏まえて、内容の訂正や改良に関しての専門的意見を入手することができます。
その後は社内でリーガルチェック済みの契約書を基本のひな形として利用することで、トラブル発生のリスクを下げることが可能となります。
また、リーガルチェックは社内の契約書だけではなく、会社の定款や就業規則から、新たな取引先から提示された契約書まで、会社の業務にまつわる様々な場面で用いる法的な書面について行うことも可能です。そして、単に書面だけではなく、取引先とのトラブルへの対応方法など、様々な場面で活用することができます。
これまで一度も外部専門家に相談をしたことがないという場合には、まずは個別の契約書のリーガルチェックを外部専門家に依頼してみてはいかがでしょうか。また、この機に会社の業務全般に関してリーガルチェックを進めたいということであれば、外部専門家との顧問契約をお勧め致します。
例えば、弁護士との顧問契約の場合、会社の業務全般について日常的に法律相談を受けることができるようになります。
これは会社における法務を外部に委託する、すなわち社外に法務部を設立するようなものであり、一般的な顧問契約であれば従業員一人を雇用するよりも格段に安価な費用で法務部を設立することが可能となります。是非とも、リーガルチェックには外部専門家をご活用下さい。
以上