事務所ブログ(2015年10月)

中欧の旅6  竹下勇夫
             (2015年10月2日)

いよいよ旅も最終段階に。

 午後2時にウィーンを出発してバスでひたすらハンガリーの首都ブダペストへ。

 そして夕闇迫るブダペストに到着。といいたいところですが,この時期,すでに中欧の日暮は遅い。なにしろ午後9時ころまでは明るいのだから。

 ホテル到着。ブダペストはドナウ川をはさんでブダ地区とペスト地区に分かれています。ホテルはブダ側のドナウ川沿いに立っています。部屋からはイギリスの国会議事堂と同じネオゴシック様式(最近ではゴシック・リヴァイヴァルというらしい)の壮大な国会議事堂,くさり橋等が一望できます。すばらしい景色。なるほど,「ドナウの真珠」といわれるだけのことはあります。というような感慨に浸る間もなく,ドナウ川クルーズに出発。午後7時はとうに過ぎているというのにとにかく明るい。これでは国会議事堂やくさり橋のライトアップした景色が見られないではないですか。などと思いつつ,クルーズ開始。船の中の食事やワインは美味しかった。ヨーロッパに来てからずっと塩味のきつい食事が続いていたので,ハンガリー最初の食事はほっとしました。今までのようなしょっぱさは全くないですね。ハプスブルクの二重帝国であっても食事はこれほど違うものかとあっけにとられました。

1時間ほどクルーズしてようやく日が落ちかけてきました。それでもまだライトアップした夜景が見られる状況ではないですね。クルーズ終了ちかく,午後9時ころになってようやく日が暮れてきました。同時にクルーズ終了。残念。

 と思っていたら,それからバスでブダ側の山に移動。ここからは見事にライトアップされたくさり橋や国会議事堂をみることができました。しばらく感動のあまり声も出ません。

 ホテルの部屋に戻ってから,じっくりドナウ川の夜景を楽しみました。ドナウの真珠,本当に素晴らしい。

 翌朝はとりあえずブダペストの市内観光。昨晩行ったブダ側の王宮,聖マーチャース教会,漁夫の砦等を見学。それからくさり橋を渡ってペスト側へ。聖イシュトヴァ―ン大聖堂を見学した後,昼食。お店はハンガリーでも12と評判の「グンデル」。有名なレストランのわりにランチだからか店内に人が少ない。やはり料理もワインもおいしい。ハンガリーの料理は日本人に合うみたい。何が違うのかしら。食事を終えて外へ出ると,隣は動物園。そしてレストランと動物園の間のレストランの庭にイスとテーブルが用意してあって,こちらはランチの人でいっぱい。なるほど,店内よりも外で食べるほうが好きなんだ。

さて,リスト・フェレンツェ記念博物館へ。一般にはフランツ・リスト。でもリストはハンガリー生まれなので正式には日本人と同様,姓であるリストが前。アンドラーシ通りに面した博物館へ。あれ,入口がない。うろうろ探しまわって,ようやく建物の横にある入口を見つけました。中にはリスト愛用のピアノや楽譜,肖像画,応接セット等々。実際にリストが使っていたものだとか。

 隣の部屋からピアノとヴァイオリンの音が聞こえてきます。扉を開けるとそこは小さなホール。舞台では年配女性がピアノ,若い女性がヴァイオリンを弾いています。ブラームスのヴァイオリンソナタ。何番だったかしら。若い女性の方は学生らしく,時々演奏を止めて年配女性の話を聞いている。しばらくしてまた演奏再開。客席には誰もいない。注意されたら出ようと思っていましたが,何も言われなかったので結局30分以上そこでレッスンを聞いていました。初めての経験です。

 さあ,これからどうしよう。あの素敵な国会議事堂も見物したい。でも夜はどうしても聞きたいコンサートがある。ここはいったんホテルに戻って,ゆっくり昼寝をして夜に備えましょう。

 地下鉄1号線と2号線を乗り継いでホテルへ。ちなみに1号線はロンドンの地下鉄に次いで世界で2番目に開通した由緒ある地下鉄だとか。20数段の階段を下りるといきなりプラットフォーム。改札口もありません。改札口がないのはミュンヘンでもプラハでもウィーンでもそうでした。でも,こんなに浅いところを地下鉄が走っているのは初めて。電車は2両だけのとてもかわいいもの。きっと開通したときのままなんだろう。電車が愛しいなんて初めての不思議な感じ。

                                  (つづく)