あなたの会社は残業代(時間外手当)を正確に計算し支払っていると自信をもって言えるでしょうか(2)

法律コラム
あなたの会社は残業代(時間外手当)を正確に計算し支払っていると自信をもって言えるでしょうか(2)

2023年3月2日

弁護士 寺口 飛鳥

 

今回は前回の続きで、「あなたの会社は残業代(時間外手当)を正確に計算し支払っていると自信をもって言えるでしょうか②」として以下解説させていただきます。前回のコラムでは、通勤手当、家族手当のほか、①別居手当②子女教育手当③住宅手当④臨時に支払われた賃金⑤一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金も除外されると説明いたしました。

 

そして、このうち「一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金」は典型的なものとしては賞与やボーナスが該当します。

その他、出勤成績によって支給される精勤手当,継続勤務に対して支給される勤続手当,奨励加給,能率手当などもこれに該当する場合があります。ただし、いずれも1か月を超える期間を基礎に評価されるものに限られます。

また、前回も述べた通り、これらの除外賃金に該当するか否かは実質により決められるため、例えば、賞与という名目であっても、年俸制などで、あらかじめいついくら支給されているのか決まっているというような場合は、年2回の支給とされていたとしても、「一箇月を超える期間ごとに支払われる賃金」に該当せず、また「臨時に支払われた賃金」にも該当しないこととなるため、除外することが出来なくなります。そのため当該賞与を含めた金額をベースに残業代を算定していくこととなります。

 

上記に述べた手当以外にもその手当を支給する趣旨によっては該当すると判断されるものもあります。逆に、家族手当や住宅手当と記載していても、独身者にも家族手当を支給していたり、実家暮らしの方に住宅手当を支給していたりと、実体との乖離が大きい場合はこれに該当しないと判断されることもあります。仮に除外賃金に該当しないと判断された場合、実際に支払うべき残業代の額が上昇することになるので、未払いが発生することとなります。

残業代の未払いは、遅延損害金が年6%、従業員退職後は年14.6%と高い金額が設定されておりますので思わぬ出費を強いられる可能性があります。

 

うちの会社、自信がないなという場合や従業員からクレームが出た場合はいつでも弊所にご相談ください。労働事件に強い弁護士と社労士があなたの会社の賃金体系を見直し問題がないか診断をさせていただきます。