法律コラム
2022年3月15日
弁護士法人琉球法律事務所
弁護士 絹川恭久
2020年3月以降の新型コロナの感染拡大により、沖縄県内の観光産業、外食産業、建設業等の多くの企業が大幅な売り上げ減を経験しました。これら業界では、現在までもう2年もこのような状態が続いて現場は疲弊し、各種金融支援も負債を増やすだけで返済のめどが立ちません。
私が関与している経営相談機関でも、最近破産や廃業を検討する相談者が増えてきました。「破産」が自分の全てを奪ってしまうのではないかと恐れ、相談前は精神的に疲弊している相談者が多いです。そういった場合、私は「破産手続で会社や住宅など財産を手放すことになるが、生活自体が終わるわけではないこと」、「破産手続き中やその後も仕事して収入を得ることはできるし、(金融機関の支援を受けにくくなるものの)再度事業を起こせること」「自由財産として、破産手続き外で一定の財産を維持できること」を説明してなるべく安心してもらいます。また、奥さんがいる方は、奥さんの財産まで手放す必要がありません。正しい知識を得て、ご自身の状況がそこまで悲観するものではないことに気づくと、皆さん精神的な安定を取り戻して、冷静に考えられるようになります。
私は「破産」は次の新しいステップを始めるための「一旦リセット」だと思います。増えすぎた負債を整理して身軽になる「断捨離」のようなものです。財産も負債も、あり過ぎると悩みが増えてシンプルに生きられません。ある人にとっては「破産」して新たな人生を歩むことも一つの選択肢となります。
私たち琉球法律事務所も破産のお手伝いをしますが、まずは相談者が適切な知識をもって正しい選択をしてもらうための助言をすることを心掛けています。
以 上