琉球法律事務所のQ&Aコーナー

こちらでは、弊所の弁護士がよくある疑問にお答えしていきます。

 

Q&A

先日亡くなった母の相続手続きをするために相続人を調べていたら、母の前の夫の子供Aの子供B(孫)が、母が亡くなる直前に母と養子縁組していることが分かりました。よくよく調べると養子縁組の届出書の、養親(母)の署名欄の字は母の字ではなくAのようです。Bに確認したところこれはAの代筆だということでした。このような養子縁組は認められるのでしょうか。

 

このような問題についての判決が今年2月に出ました。代筆だとしても本当に母の意思で養子縁組をしていたのなら問題なかったでしょう。しかし、この事件では、養子縁組の届け出当時、母は、89歳。認知症で、養子縁組直前まで入院していた病院の記録でも記憶力に問題がある旨の指摘があり、長谷川式簡易知能スケールの結果が30点中5点(一般的には後見程度)ということから、養子縁組をAに代筆してお願いするような状態でなかったとして、養子縁組が無効になりました。

  養子縁組をすることで相続人となることができるということでこのようなことが行われることがありますが、紛争の原因になることは明らかですね。

  このケースでも、判断能力があるか否かについて、前後の病院の入院記録や検査記録が参考にされていることも要チェックといえます。よくある遺言の無効確認の裁判でも同じような証拠を集める必要があります。