法律コラム

リーガルチェックの重要性

2020年8月19日
 

【リーガルチェックの重要性】

弁護士法人琉球法律事務所
弁護士 上原光理

 私は,弁護士として,顧問先の契約書のリーガルチェックを行っておりますが,その重要性を日々実感しております。

 なぜなら,相手方から提示された契約書をチェックしてみると,顧問先にとって不利な契約内容となっていることも少なくないからです。
 私たちの市民社会においては,個人が他者からの干渉を受けることなく,自らの意思に基づき,自らの法律関係(権利義務関係)を形成することができます。これを私的自治の原則と言います。
 会社においても同様で,会社間の契約書の内容も双方が自由に決定することができるのが原則です。
 そのため,上記のように,相手方に有利で,顧問先にとって不利な契約内容を結んでしまうことも多々あるのです。

 ここで具体的な話をしたいと思います。
 A社とB社との土地の売買契約でご説明したいと思います。
 A社がB社に対して土地を売買した後に,この土地に土壌汚染が発覚しました。この場合,A社及びB社が売買契約当時に認識していなかった土壌汚染について,売買契約の内容について特に規定を行っていない場合には,民法が適用されることになります。この場合,B社はA社に対して,損害賠償請求や売買契約の解除等をすることができます。
 しかし,A社がこの売買契約の中で,売買契約後,この土地に土壌汚染などの欠陥が発見されたとしても,A社はその責任を負わず,B社は損害賠償請求や売買契約の解除等を行うことができないとの規定をB社に対して提示し,B社がこの契約書の内容を検討することなく締結してしまった場合はどうでしょうか。
B社は,土壌汚染という予期しない損害を被ったにも関わらず,A社にその責任を追及できなくなってしまいます。

 会社間で契約を締結するにあたっては,相手方への信頼感から特に契約書の内容を確認することなく契約書を締結してしまったり,契約書を確認しようと思っても難解な言葉が並んでいるために深く確認せずに契約してしまうことも多々あると思います。また,民法上,何が原則かがわからないために,相手方に提示された契約内容が自らにとって不利な内容になっていることに気づくことができないということも多々あると考えられます。そのために,不利な契約を締結してしまい,損害を負ってしまうことになりかねません。
会社の取引上,不利な契約を結んでしまうことは,その後の事業活動にも大きな影響を与えるものです。

 したがって、このようなリスクを回避するために、契約書のリーガルチェックを行うことは事業活動を行う上でとても重要となってきます。
 当事務所は、沖縄県内企業の約80社の顧問弁護士をしており、リーガルチェックに関して多くの経験を有しております。顧問弁護契約にご興味のある方は、ぜひ当事務所までお気軽にお問合せください。